【三次市吉舎町】「西光禅寺」と国重要文化財「奥家住宅」を舞台に 国際文化交流会 - 三次市観光 Walk @round Miyoshi(三次観光推進機構公式ウェブサイト)|広島県三次市

【三次市吉舎町】「西光禅寺」と国重要文化財「奥家住宅」を舞台に 国際文化交流会|三次市観光 Walk @round Miyoshi(三次観光推進機構公式ウェブサイト)|広島県三次市

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【三次市吉舎町】「西光禅寺」と国重要文化財「奥家住宅」を舞台に 国際文化交流会

【三次市吉舎町】「西光禅寺」と国重要文化財「奥家住宅」を舞台に 国際文化交流会

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心地よい晴天に恵まれた2024年5月4日(土)、5日(日)の2日間、三次市吉舎町敷地にある西光禅寺と、国重要文化財「奥家住宅」にて、国際禅芸文化交流会「禅藝」が開催されました。芸術に身を委ねながら心の静けさを取り戻し、言葉や国を超えて自然との調和や人類平和の実現に向かうことを目的とし、台湾、中国、日本国内からさまざまな分野の著名なアーティストが集いました。三次市や広島市、福山市、遠くは台湾から訪れた参加者は、自然いっぱいの空間で、音楽や書、茶席、香、古琴、箏、尺八、華道、空間藝術、座禅などを楽しみました。

「禅藝」とは

「禅藝」とは、禅と芸術を融合させた表現活動のことです。

~芸によって禅を感じ~
~禅によって芸を創る~

禅寺にて、書道、絵画、茶道、華道、伝統楽器及び工芸品など、多岐にわたる芸術の鑑賞を通じて、禅の境地を体験します。
今回の「国際禅芸文化交流会」は、日本と台湾の芸術家による書画、古琴と尺八、香道、茶道、華道などのパフォーマンス及び坐禅を行います。

「禅藝」開催のきっかけ

2023年9月、名古屋市で開催された「観音文化国際シンポジウム」に、陳國寧氏は主催者会長として出席、西光禅寺 壇上宗謙住職は講師として参加していました。翌朝の朝食会場で隣同士だった2人は、ほんの少し会話を交わしただけなのに意気投合。シンポジウム後、檀上住職が台湾の陳氏の邸宅を訪ね、さらに交流を深めました。

「芸術の前では心が穏やか。そんな感覚を三次市で共有したい」という檀上住職の思いを実現させたのが、シンポジウムで通訳を担った会社取締役の下岡郁さん。中国出身で、京都大学卒、現在東京在住の下岡さんがプロデューサーとして、実際に台湾や三次を訪問するなどして「禅藝」を企画しました。

主催者紹介

壇上宗謙住職

陳 國寧(Chen Guoning)

プロデューサー 下岡郁さん

 

音や香り、坐禅…境内での多彩な催し~西光禅寺~

西光禅寺は、室町時代の文明元年(1469年)に創建されたお寺です。やや傾斜がある参道をあがっていくと、風や木々の葉音が参拝者を包んでくれます。

山門の前には六体のお地蔵さま、門をくぐると、龍と鳳凰、2体の木像。

そしてこの2日間は、カラフルな旗が、普段と違う印象を与え、来場者を迎えてくれました。

普段は静かに季節のうつろいを見つめている境内は、メインのイベント会場に。
音響設備が整い、茶席や演奏家のためのテーブルや、畳を敷いた舞台がお目見え。花瓶や水鉢に活けられた季節の花や、イベント名「禅藝」がしたためられた幕が雰囲気を盛り上げます。

ドレスコードを「着物」で統一したスタッフたちの、心づくしのおもてなしがあちこちに感じられ、思わず笑顔になります。

イベントは、西光禅寺の檀上住職のあいさつで始まりました。
「西光禅寺が建立して556年になります。この袈裟は約400年前、数珠は約500年前のもの、境内の紅葉は樹齢約400年を数えます。ここ西光禅寺にて、これより国際文化交流会をスタートいたします、皆様よろしくお願いします」

続いて、全員で般若心経を唱え、心を落ち着けます。


檀上住職が、市重要文化財に指定されている梵鐘を突きます。
飢饉が起こり三次市の馬洗川も干上がったため、「この飢饉という難局を乗り越えよう」と1789年に製造されたもの。鉄が不足した戦時中、国内の金属製品が集められ、各地の寺の梵鐘もなくなりましたが、この梵鐘だけは県内唯一、その難を逃れました。「平和の大切さを伝え、世界平和を祈る鐘」として存在しています。

続いて、中華民国博物館協会 副理事長 陳國寧氏があいさつ。
「こういう機会をいただき、第一回となる国際交流会を開催できてうれしく思います。今回のイベントは、檀上住職が発起人です。台湾や日本の一流アーティストが集うイベントができないかという話があり、昨年11月から準備を始めてきました。何のためにかというと、『アーティストの心の中にある禅の喜び』をシェアしたいからです」

プロデューサーの下岡さんの息子さんや、東京で中国語を学ぶ学生さんも、司会や通訳などのボランティアスタッフとして参加。フレッシュな動きで会を支えます。

下岡さんは「陳氏は、芸術家であり経営者であります。台湾の故宮博物院の顧問を務めるなど『台湾の博物館の母』と呼ばれる方です。2021 年には、台湾文化部より『文化協会勲章』を授与されています。中国文化大学の教授として若手の育成もされており、学生さんが先生である陳氏を慕って自宅に集まるそうです。陳氏の『母心』のような気持ちがあれば、世界は平和につながるのです。ぜひこの機会に、わたしたちは国の垣根を超えて平和を祈っていきましょう。みなさんは、ここにいるだけで、友好関係に貢献されているのです」とあいさつ。

次に、今回のイベントの趣旨に賛同して来日したアーティストの紹介がありました。

アーティスト紹介

「茶」
中国茶席 講師
惜月(Xiyue)

中国出身、台湾在住。中国国家高級茶芸師、中国国家高級評茶師、中華和香師であり、「和合」茶心法の創始者。中国雲南省西双版納歳月蔵金茶業有限公司の董事長として勤務。

「楽」
中国出身、ドイツ在住の古琴奏者
成紅雨(Cheng Hongyu)

中国出身でドイツ在住。7歳から父である広陵派古琴家・作曲家の成公亮教授に師事。西南大学音楽学院で客員教授。渡独後、世界中の音楽を融合し、オリジナル作品を創作。古琴演奏は国際音楽会で多数の金賞、一等賞を受賞。作品はドイツのレコード評論家賞を受賞、最優秀世界音楽カタログにも掲載される。

ドイツ出身。ジャズピアニスト、作曲家。シンセサイザープログラマー、ドイツ青年オーケストラ講師、東ブース州芸術家
レィナーグライジン(Rainer Granzin)

ドイツ出身。ジャズピアニスト、作曲家。シンセサイザープログラマー、ドイツ青年オーケストラ講師、東ブース州芸術家。1992 年以降、新音楽スタイルを創出。映画・舞台の音楽を手がけ、30 枚以上の CD リリース。近年は中国テーマの作品も制作。

「楽」
賴彥婷(Lai Yanting)
古琴奏者

中国の古琴家である成公亮、丁承運の影響を受け、国立台北芸術大学に入学、古琴の修士課程を専攻。2015 年から現在まで世界中で30回以上のコンサートに参加。

「空間設計」「茶道」
賴昕鴻(Lai Xinhong)

台湾彰化出身、20年以上の空間設計のエキスパート。2013年、和を軸に「十相文化設計」を設立。生態と人文の継承・革新を設計に反映し、持続可能な理念と茶道を通じ「和の道」を追求。

「書」
廖鴻興(Liao Hongxing)
書道講師

台湾神岡郷出身。中華文化大学修了後、書道・絵画に専念。作品のテーマは時代を超越し、中西の要素を融合。台北市立美術館で多数個展を開催、国際文芸基金会依頼で地球環境変遷作品を創作。草書、禅、太極を組み合わせた「草書引」を独創。

「香」
香道講師
許文濱(Xu Wenbin)

「嵐香齋」の主宰、香具デザイナー。伝統の気品と現代の美を融合させた「嗅覚芸術の創造」という理念の下、現代人の嗅覚審美に合うお香を制作。「経を教ゆる師、亦た人を導く師となるべし」の下で香文化活動を行う。

「楽」
六ツ森ケイ子
筝奏者

岡山県出身。琴と筝奏者・作曲家。6 歳から箏を学び、沢井忠夫・沢井一恵に師事。1986 年ソロ活動開始、国内外の公演にも多数出演。2001 年以降「Leaves」を含む数枚のアルバムをリリース、2007年秋篠宮殿下前で演奏。

「楽」
六ツ森ヒロ
尺八奏者

岡山県出身。少年時代から指揮、幅広い和楽器及び西洋楽器を習得。1989 年から国際交流基金派遣で中東地域で演奏するなど、国内外公演多数。2005 年、中国江蘇省の「国際都市友好芸術祭」に参加。2007 年、秋篠宮殿下御前で演奏。現在地元の教育機関で和楽器指導に尽力。

「茶」
大河內宗紗
江戸千家茶道教授

茶道歴 47 年、東京浅草にある茶道教室「洗心庵」の主宰。外国人や若者を対象とする茶道を普及するため、インターナショナルスクールの茶道クラブを指導するほか、2005 「茶遊会」を立ち上げ、茶道の新しい楽しみ方を提案。

献茶式

献茶式では、六ツ森ヒロ氏の演奏に合わせて、江戸千家茶道教授の大河内宗紗氏がお点前を披露。厳かな雰囲気の中、献茶が終わると、来場者にも抹茶がふるまわれました。

レイナーさんの優しいピアノを聞きながら、檀上住職による坐禅の時間がもうけられました。

「私は一人ではなく、この大自然が私である、というところに、この坐禅の時間をおいていただけたら。大きく深呼吸して、新緑のおいしい空気をいっぱいに吸い込んで、私は生かされているという、さまざまなひとへの感謝の気持ちを呼び覚ましてください。大自然に感謝の瞑想です。光を感じ、心の中にある感謝、優しさと合わせて行ってみてください」と呼びかけました。

来場者は思い思いの場所に座って、心静かに瞑想しました。

和文化に触れるひととき~国重要文化財「奥家住宅」~

今回、もう一つの会場となったのが、国指定重要文化財、「奥家(おくけ)住宅」です。
西光禅寺から車で数分ほどの場所にあり、1788年の建設といわれています。

土間の上部には太い小屋梁が五重に組まれていて、見応えがあります。

庭では、お茶会が開かれました。参加者はお点前を見守ったのち、お菓子や抹茶をゆっくりと味わい、茶碗を愛でていました。

お茶会に合わせて尺八や箏の演奏も。和の雰囲気が奥家を包みました。

「書」
牛尾明光
かな書道講師

広島出身。高校時代に平野泰山に書道学び、2014 年から仮名書家中室舟水に師事。2022 年公務員を退職後、書道講師として活躍。2024 年に府中市で個展を開催。

「花」
市川 翠
「ベラビスタ境ガ浜」挿花専属

沼隈町文化館枝広邸及び沼隈千年交流館花展示及び指導、自宅での花教室の開催や出張稽古などで活躍中。

イベントを終えて

笑顔で記念撮影に収まる陳氏と住職。
最後に陳氏に2日間を振り返っていただき、三次市の印象もお尋ねしました。
「2日間を一文字でまとめると『和』と表現できるでしょうか。アートは和とつながっているともいえると思います。今回、台湾から来た人たちは、イベントを通じ、いろんなことを得られたと思います 今後は美術館や学校、老人ホームなど違うことをテーマにイベントが展開できたら…。アートは遠いものと思われがちですが、もっともっと、普段の生活に取り入れてほしいです。三次の第一印象は緑が多く、気持ちよく、とてもきれい。ざわつかず静かで、好きな雰囲気です。中国では、家の中は整頓していても、外には構わないものですが、日本はどこもきれい。見習いたいですね。献茶式も自然の中で、とてもいい雰囲気ですてきでした!今後、また一緒に何かできたらいいですね」

イベントを総括した下岡郁プロデューサーは「使命を果たしました」と笑顔でした。

天気に恵まれ、多彩な催しが開催された2日間。
各地から訪れた来場者は、2つの会場の雰囲気と共に、趣向を凝らしたトップレベルの芸術に触れ、「禅」の世界に触れる2日間を満喫しました。

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