三次の鵜飼を体験できるイベント「チャレンジ!鵜匠・船頭体験」
郷土の伝統文化としての三次鵜飼を知るため、鵜匠や船頭の仕事を体験するイベントが、2023年6月24日に行われました。
三次市立図書館が主催し、三次の鵜飼の鵜匠や船頭が協力して開催しています。
同図書館では、平成27年より「鵜飼に関する知識を深め、身近に感じてもらおう」と、白い鵜の名前を公募するなどさまざまな活動を続けてきました。
「チャレンジ!鵜匠・船頭体験」は令和元年から始まり、コロナ禍での中止を挟み、今年で4回目となります。
「鵜匠・船頭体験」は、観光鵜飼と同じ場所で、同じ鵜舟を使って、実際に活躍する鵜匠や船頭が指導者となって行います。
「他の地域でも、鵜に触れあうような体験はありますが、参加者を鵜舟に乗せて鵜飼体験を行うのは、全国でもここだけではないでしょうか」と、鵜匠会会長の日坂文吾さん。
それだけに、参加者の期待感も高い様子。三次市十日市親水公園内にある鵜飼乗船場には、事前に申し込みをした参加者が続々と集まり始めました。
三次市立図書館の金光美由紀副館長が、参加者をお出迎え。
「鵜匠や船頭さんの仕事を知り、三次が誇る夏の風物詩『鵜飼』の知識を深めてもらおうと毎年開催しています。今年は三次市内から小学一年生から大人まで、定員いっぱいの20人が参加します」
三次が誇る三人の鵜匠、鵜匠会会長の日坂文吾さん、上岡良介さん、角濱義郎さん、鵜舟の舵取り役である「舵子(かじこ)」の皆さんの紹介がありました。
体験を前に、日坂鵜匠から鵜舟の説明がありました。
「この3艘の鵜舟は、5枚の板を使ってつくられた伝統の「軽古舟(かんこぶね)」。鵜舟、笹舟ともいわれます。三次では、福岡県産の飫肥杉(おびすぎ)を舟に使用しています。どう適しているかというと、油分が多く、水に強いからです。鵜舟の長さは約9メートル。大正13年までは篝火(かがりび)を焚いていました。麻の茎の皮を剥いで、内部の木質部を乾燥させた『苧殻』(おがら)を篝火にして、鵜飼を行っていたんです。3メートル50センチくらいある苧殻を持ち、支えるためには「火持ち」が必要。舟には鵜匠、舵子、火持ちの3人で乗っていました。その後、苧殻が別の用途で使用され不足するようになると、カーバイト灯を苧殻の代わりに用いるようになりました。100年の歴史を経て、LEDも使うようになり、3艘のうち1艘は今もカーバイト灯を使っています。それぞれの色、形、風情も感じてほしいです」
今から実際に乗船する鵜舟についての詳しい説明に、参加者は静かに耳を傾けていました。
「船はどう操作するかというと、舵子が『櫂(かい)』と呼ばれる竹竿を使って、自由自在に操舵しています。鵜匠の技術、舵子の技、鵜が魚を獲るさま、これら三位一体の鵜飼を見て、しっかり経験してください。体験というより体感してほしいです」と力を込める日坂さんの言葉に、気持ちが引き締まります。
救命胴衣を着けて、3艘の鵜舟に分かれます。
初めての腰蓑にワクワク、気分が高揚する参加者たち。
「舟のバランスが悪いから落ちないように」
「落ちた人は今までいませんけどね」
鵜舟に乗って、裸足で立ち、手綱(たづな)を持たせてもらったり、鵜匠から説明を聞いたり。
舵子が、実際のコースの一部に鵜舟を進める、リアルな鵜匠体験となりました。
下舟すると、笑顔で記念撮影も。
「鵜舟の上は気持ちよかった」「鵜は賢いな」と参加した子どもたち。
大人たちも「市外の人にも教えてあげたい」「鵜匠からいろんな話が聞けてよかった」と満足そう。
下舟した人たちは、観光遊覧船乗り場へ。
観光遊覧船に乗り、水道橋の下をくぐり、中洲まで出ていきました。
途中で、竿を操り、「船頭体験」も!
竿1本で遊覧船を操縦する、忘れられない経験となったことでしょう。
帰ってくるころは、周囲に篝火が灯り、見事な夕焼けが広がっていました。
子どもたちの心に、きっと、この日の体験や光景が刻まれたことでしょう。
いつか三次を離れても、ふと故郷のことを思い出し、誇らしく感じてもらいたい。そんな思いも伝わった、素晴らしい体験会となりました。
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