【三次市三和町】 酒造りまるごと体験ツアー 第3回「しめ縄作り&酒造り体験」
「酒米の田植え」「稲刈り」に続く第3回は、稲刈り体験で刈り取った稲わらを使ったしめ縄作りと、酒造り真っ最中の蔵に入って、酒造りの工程の一つを実際に体験するというスペシャルな内容。
東京で、広島の日本酒のみを扱う日本酒バー「SAKEbar古風路」を営み、日本酒関連イベント運営を行っている株式会社こふろが主催。三次市三和町にある「美和桜酒造」の全面協力を得て開催しています。
しめ縄作りの会場は、丘の上にある「広島ふるさと村」(三和町上板木)。和室の利用の他、5人以上で宿泊も可能です。各種研修やスポーツ合宿などにも利用されています。
1階のいろりの間に集合した参加者。
株式会社こふろの國村周平さんと、三次市DXコーディネーターの住本惟光さんが、しめ縄作りについて説明しました。
机の上に置かれている稲穂は、前回、参加者が刈り取ったもの。
しっかり実った穂は乾燥しています。
練習用の稲わらと、飾り付け用の紅葉や柊なども用意されています。
しめ縄作りは、主に住本さんがレクチャー。住本さんも、美和桜酒造の杜氏さんに実際に作り方を教わってきたそうです。膝で稲わらを押さえ、2つに分けて、両手のひらを使ってねじっていきますが…。
手のひらをどちらに動かすのか、ねじった2つの束をどっちの方向へ巻いていくのか、最初は混乱してしまいます。
稲わらが切れたり、ねじっていたらはみ出たりして大変!
先生の熱心な指導で、あっという間にコツをつかみます。
参加者はすぐにマスター!稲わらの本数を増やして太くしたり、一部に稲わらを差し込んで太さに変化をつけたりと、アイデア次第で自由自在にしめ縄を完成させます。
1つ完成したら次も!
最初はゆっくり慎重に稲わらを扱っていた参加者たちですが、國村さんや住本さんの予想を超えて、とても立派なしめ縄を完成させていきました。
しめ縄の形に決まりはなく、アレンジしてOK。しめ縄を二重、三重にして、自由に飾り付けをしました。
完成した作品と一緒に記念撮影
「わら細工の職人は少ないみたいですよ。少し難しいかなと思いましたが、皆さんとてもお上手です」と驚く國村さん。
「お正月のしめ縄は、今年は購入しません。作ったしめ縄を玄関に飾る予定。お正月を過ぎても飾っておきたい」「自分で作ったしめ縄で新年を迎えられるなんて、愛着がわきます。よい経験になりました」と、参加者も満足そうでした。
残った時間で、お酒のラベルづくりも進めました。
参加者が制作したイラストや文字が、新酒のラベルになります。
世界でたった一本の「マイ日本酒」の完成が待ち遠しいですね。
昼食のお弁当を食べながら、國村さんから酒造り体験について説明を聞きました。
「今日の午後は、酒造りの工程の中でもとても重要な『酛摺り(もとすり)』に挑戦してもらいます。日本酒を造る上で必要な『酒母』を、人工のものではなく、昔ながらの手作業で作るのが『生酛造り(きもとづくり)』。江戸時代から伝わる製法で、地域や蔵にいる菌を繁殖させて乳酸菌を発生させます。その方法が酛すりで、木の棒(櫂)を持って、米と麹、水をかき混ぜ、すり潰し、どろどろの液体にします。こうしてできた酒母が、酵母菌を増やし、日本酒の原型であるもろみの元になっていきます。酒造り最盛期のこの時期に、蔵の中で実際に作業を体験したり、杜氏さんの案内で蔵見学をしたりできるのは、なかなかないことです。貴重なひとときを楽しんでください」
美和桜酒造に到着しました。
「仕込第壱号蔵」に入らせてもらいます。
3つの桶に、米、麹、水が入っています。全部で3回、すり潰す作業を行います。
午前中に、すでに一番きついとされる1番すりを終えており、参加者は2番すり、3番すりを行います。
どのような動きをするのか、実際に実演してもらいます。
簡単そうに見えて、櫂の先で米をかき混ぜるのは難しそうで、力もいります。
「酛摺り唄」に合わせて、2人1組で、相手と交差するように櫂を動かします。
「アー 酒のヨーホイ、神様のヨーホイ」で始まる唄は、気持ちを一つにするのはもちろん、時間を測る役割もあるそうです。
参加者と一緒に、美和桜酒造の坂田社長や國村さんも櫂(かい)を動かします。
杜氏から「自社水田で育った酒米を自社精米。品種は、心白が多く精米しにくい八反錦から、八反35号へ変更し、70%精米しています。酛摺りしたことで、乳酸菌が出てきて、酒米がゆっくりと溶け出し、酵母が動き出します」と説明がありました。
特別に、酛摺りした酒母を食べさせてもらいました。
「ほんのり甘い!」
作業が無事終わって記念撮影。
「蔵の中でこんな写真が撮れるのも珍しい!」
「たくさんの工程を経て日本酒が完成しているのだと思うと、一杯が愛おしくなります」
「ますます日本酒の完成が楽しみになりました」
このあと、貯蔵タンクや醸造タンク、蒸米を機械で移す作業など、酒造り真っ最中の光景を見学した参加者。
田植えをした稲がしめ縄になり、奥深い酒造りの一部も体験できた、貴重かつ充実した一日となりました。
2月末の新酒の完成と試飲を楽しみにしつつ、今日のツアーは終了です。
↓ 詳細は下記へ直接お問い合わせください ↓