江戸時代、寛延2年(1749)備後国三次(現・広島県三次市三次町)に暮らす16歳の稲生平太郎のもとに30日間に渡って、怪異がおこったり、さまざまな妖怪が現れ、平太郎を脅かし続けます。平太郎はその脅かしに耐え抜き、最後に妖怪の頭である魔王の山本五郎左衛門が現れ、勇気を讃え降参して立ち去っていくという物語です。物語には、現在も実在する場所や、主人公の平太郎をはじめ、当時実在した人物が登場します。また、さまざまな怪異・妖怪たちも怖いだけでなくユーモラスに感じる内容や絵も魅力の一つです。
この作品が誕生してから、本や絵巻など、さまざまな形態で全国に伝えられてきました。また伝承されるにつれ、物語の内容も微妙に変化しています。明治時代以降においても講談、小説作品などにいかされ、最近では、漫画、映画、神楽などにも取り上げられるというように、今日まで伝承され成長し続けている、ある意味で、隠れた<大ベストセラー>な物語です。
日本初!≪稲生物怪録≫に特化した常設展示室!
三次市を舞台とした稲生物怪録の歴史や内容、魅力を三次市所蔵・寄託資料、湯本豪一コレクション、全国の所蔵機関等の所蔵資料をあわせて活用し、展示を通して最新の研究情報を全国へ紹介、発信します。