【三次市君田町】農家民宿こがねや / わくわくがいっぱいの田舎体験!
夢を喰う虫の農家民宿 こがねや
住所/三次市君田町茂田21 電話番号/0824-53-2472
農家民宿「こがねや」は、山の緑が美しい三次市君田町茂田にあります。初夏は緑、秋は黄金色、冬は一面の銀世界と、さまざまに彩られる自然の中で、バラエティーに富んだ体験メニューにチャレンジできます。
この日宿泊する川西ファミリーが「こがねや」に到着しました。「こんにちわ!」「よろしくお願いします!」
「こがねや」の今本豊さん、今本千草さん夫婦が川西ファミリーをお出迎え。「こがねや」は、築約80年以上たった今本さんの実家を、2007年に農泊用に建て替えたもの。普段は豊さん、千草さん夫妻が暮らす家でもあり、アットホームな雰囲気です。まずは、天井の高いリビングに集合。ちょっと緊張していた川西家の子どもたちも、自家製の「クロモジ茶」とオレンジジュースをいただいて、ほっと一息。
「いらっしゃい。ようこそ。まずは注意事項からね」と豊さん。
手渡された紙には、大切な箇所に線が引いてあります。
「マムシやヤマカガシには気を付けて。もし咬まれてもヘビの毒は回りが遅いからあわてないでね。ヘビ以外にもムカデや毒を持った昆虫類がいるから、肌を露出しないように。今年は蚊も多いからね」
マムシやムカデといった言葉に驚きつつ、全員できちんと注意事項を確認しました。
「今日のスケジュールを言うよ。魚釣り体験、そのあと薪割り体験、五右衛門風呂を焚いて、そうめん流し用の竹カップ作り体験、ちゃんと竹カップができたらそうめん流しね」「はーい!」体験メニューの説明を聞くだけでワクワクですね。
餌の虫を捕まえて小川で魚釣り体験
まずは「魚釣り体験」です。長靴に履き替えたら、豊さんは川に行く前に、ツツジの植栽の前へ。「はい、ここでミノムシを探して」「ええ?ミノムシ?」
ツツジの木をよく見ると、あちこちにミノムシがぶら下がっているではありませんか。「これがエサになるんよ。ミノの下のお尻の部分をちょっと押してやると、ほら、ミノの上からミノムシが顔を出すでしょう」「へえええ」
引っ張り出したミノムシを竿の先に付けたら、いざ魚釣りです。すぐ前に小川が流れていて、岩陰にヤマメが泳いでいるのが見えます。さっと釣れたかと思うと、次は釣れそうで釣れない、釣れても針から外れて落っこちるなど、ハプニングも楽しいひとときでした。
道具は全て大人用 真剣に挑む薪割り
次は、大人気の薪割り体験。「うちの道具は子ども用なんかじゃない、本物だからね。子ども用を使うと気を抜いて余計ケガにつながるから」と豊さん。みんな、その言葉を噛みしめ、真剣な表情で斧を握ります。お父さんも子どもたちも、交代しながら一生懸命斧を振りました。すぐには薪は割れませんでしたが、だんだんコツを掴んで、つい時間を忘れて熱中!
割った薪を燃やして沸かす 大自然の中の五右衛門風呂
大盛り上がりの薪割りを終えると、割った薪も使って五右衛門風呂を沸かします。「火を間近に見ることもないから、いい経験になった」とお父さん。自然の中でお風呂に浸かるという非日常体験も、ここでしか味わえない醍醐味です。
青竹をのこぎりで切る そうめん流しは容器作りから
次は、太い竹をのこぎりでカットして、そうめん流しで使う竹コップ作り。豊さんが竹をしっかり押さえてくれ、本物ののこぎりで竹を切ります。人数分の竹コップができたら、ふちを丸く削ってもらいました。「これは持って帰っていいからね」すてきなお土産の完成です。
竹コップができたら、いざお待ちかねのそうめん流しへ。めんつゆは千草さんのお手製です。
そうめんが流れてくるかと思ったら、トマトやウズラの卵まで流れてくるではありませんか!そうめんを流す人を交代しながら、お腹いっぱいにそうめんを味わいました。「水は200メートル先の山から引いてきていて、年中12.5~13度と冷たくて、そうめん流しに最適。朝、ここで顔を洗ってもいいよ」と豊さん。水の冷たさ、心地よさは、きっと子どもたちの心にも残ることでしょう。
親牛の迫力、子牛のかわいらしさ 驚きいっぱいの牛の餌やり
夕方になり、豊さんが世話している牛の親子にエサをあげる時間になりました。もともと豊さんは畜産が専門だったのです。
牛舎には3頭の黒毛和牛がいて、まだ母親の乳を飲んでいる子牛も3頭、一緒に暮らしています。
干し草を収納している納屋へ上がらせてもらってピース!
夏に日本に飛来する「ブッポウソウ」の生息地としても知られる君田町。こがねやの敷地には巣箱が掛けてあり、子育て中のブッポウソウがせっせと雛にエサを運んでくる様子が見られます。豊さんのスケジュール通り、この日の体験メニューを終えた川西ファミリー。お風呂は、車で5分ほどのところにある「君田温泉」を利用してもらいます。
「明治時代まで、この茂田地域では砂鉄を採っていたんですよ。どの家も鉄にちなんだ屋号を持っていました。うちは『鉄屋』(こがねや)という屋号だったので、それを農家民泊の名前にしたんです」
「こがねや」と白く描かれたのれんは、吉舎町に工場がある「カイハラ」のデニムでできています。
肉も野菜も君田の味 雰囲気も温かい夕食
その間に、キッチンでは千草さんが夕食作り。
この日の夕食のメニューは「イノシシ肉のハンバーグ」「イノシシ肉のチャーシュー」「ヤマメ」など。イノシシ肉や野菜は、地元の人が届けてくれたり、自家畑で作った物を使い宿泊者にもできるだけ地元産食材の料理を提供するようにしているそう。ご飯も、豊さんが栽培している自家製コシヒカリです。山の果実を使った自家製ジャムは、豊さんの担当。
「いただきまーす!」
話上手の豊さんと、優しい笑顔の千草さんと一緒に料理を囲み、今日の体験について振り返りながら、こがねやの夜は更けていきました。
宿泊者用の部屋は、8畳を2部屋用意。
一日1組限定で、一週間前までの要予約。どんな体験がしたいか希望を伝えると、経験豊富な豊さんがアレンジしてくれます。雨天時も十分楽しめるよう、さまざまなメニューが用意されています。
体験メニューの一例
・花炭体験 ・キーホルダー作り体験 ・アメリカフウの実を使った人形作り ・蔓のつるを切って「ターザンごっこ」 ・フィールドビンゴ
注意事項
・汚れてもいい服装 ・長靴、手袋、虫よけスプレーを持参 ・おやつや飲み物は自由に持ち込みOK ・温泉利用の有無を事前に伝える・アレルギーや嫌いなものを事前に伝える
「ここでしかできないことを」 夫婦二人三脚のおもてなし
若い頃は自転車で四国一周をしたり、ヒッチハイクをしながら北海道を回ったりしたという豊さん。千草さんと結婚してからもあちこちを旅し、「日本のほとんどを見て回ったよ」と振り返ります。
豊さんは、勤務先のJAグループを退職する前から「仕事を辞めても、農業をするだけではつまらない」と考え、農家民泊を営むことを決めていました。妻の千草さんが賛成してくれたことも大きかったそうです。そこで、JAグループを退職後、7年間嘱託として勤務しながら、家を建て替えたり、食品衛生の許可を取ったりと環境を整え、現役を終える直前の2014年2月に農泊民泊の営業許可も取得。2カ月後の4月から「こがねや」をスタートさせました。
「こがねや」を始めるにあたり、同じように農泊を営む友人から「見にきてみたら」と言われることもあったそうですが、豊さんは「人と同じではなく、この地で、自分ができることで楽しんでもらおう」と、真似ではなく、自分なりのおもてなしをすることに決めました。そんな気持ちが、多彩な体験メニューの数々につながっているのでしょう。
豊さんは、農泊のオーナーだけでなく、「集落支援員」「三次市消防団 副団長」「自然公園インストラクター」を務め、君田小学校では「熊学習」の講師、「野遊びフェス」では遊びの達人として参加するなど、さまざまな顔を持っています。「おじいちゃんの気持ちで子どもたちと接して、喜んでもらえたらそれでいい。よそにはない貴重な体験を良い思い出にしてもらえたら」と謙虚に話します。
豊さん、千草さんの人柄ゆえでしょうか、広島市内や呉市、時には海外から来る人も。必ず同じ時期に来るリピーターや、「子どもができたらここでホタルを見せたい」と話す人もいるそうで、「こがねや」を利用する人は後をたちません。
玄関やリビングには、利用者から届いた礼状が飾られています。「ありがとう」と書かれているのは、「喜んでもらえたらそれでいい」という豊さんの願いが伝わっている証拠です。
「こがねや」には、便利なものや最新のものはないかもしれません。しかし、私たちが忘れかけている自然の素晴らしさや大地の恵み、エアコンのいらない涼しい風を体験することができます。大人にとっても子どもにとっても、心に残るひとときとなることでしょう。
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Information
店舗名 | 夢を喰う虫の農家民宿 こがねや |
所在地 | 住所/広島県三次市君田町茂田21 |
料金 | 宿泊料(体験料含)大人1泊2食 9,000円 / 小学生1泊2食 7,000円 |
営業時間 | チェックイン 午後 / チェックアウト 午前中 |
電話番号 | 0824-53-2472 |
外観写真 |