【三次市三次町】創業約190年 太鼓製造・修理の老舗「喜八屋 福藤太鼓店」 - 三次市観光 Walk @round Miyoshi(三次観光推進機構公式ウェブサイト)|広島県三次市

【三次市三次町】創業約190年 太鼓製造・修理の老舗「喜八屋 福藤太鼓店」|三次市観光 Walk @round Miyoshi(三次観光推進機構公式ウェブサイト)|広島県三次市

喜八屋 福藤太鼓店
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【三次市三次町】創業約190年 太鼓製造・修理の老舗「喜八屋 福藤太鼓店」

【三次市三次町】創業約190年 太鼓製造・修理の老舗「喜八屋 福藤太鼓店」

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お祭りや神楽、神社、お寺、学校行事、イベントに欠かせない打楽器「太鼓」。
太鼓の歴史は古く、江戸時代からつくられています。

 

県内でも珍しい、太鼓の修理・販売を手掛ける「喜八屋 福藤太鼓店」。
全国的にも太鼓を扱うところは少なく、だんだんと減少傾向にあり、三次や庄原はもちろん、東広島、島根、四国からも依頼があるそうです。

喜八屋 福藤太鼓店

福藤太鼓店は、何と文政年間(1818~ 1830年)にここ三次で創業し、約190年という長い歴史を持ちます。
受け継がれた技術は、現在、6代目となる福藤雅之さんが継承しています。
娘さん2人に恵まれた雅之さん。
「娘に家業を継がせるなんていうことは考えたこともなかった」と話し、このまま自分の代で終わるのかなと思っていました。

しかし、2020年以降、国内で蔓延した新型コロナウイルス感染症が、福藤太鼓店にとって大きな転機となりました。

喜八屋 福藤太鼓店

雅之さんの次女、亜耶香さんは、広島市内の専門学校を卒業後、三次市内で事務員として働いていました。
「会社の上司が神楽好きで。実家が太鼓店だと話すと驚いて、『店をたたむのはもったいないよね』『将来はどうするのかね』と毎日のように話すようになりました。私自身も、何とかなればいいな、絶やしたくはないな、と思っていましたが、自分が継ぐという発想はありませんでした」と、当時を振り返ります。

コロナ禍で外出や行動が制限されるようになると、有名アーティストがオンラインで音楽を発信するなど、人々を元気づける行動に出るようになりました。
「私も何かやりたい!みんなを喜ばせたい!と思ったんです。しかし、私には特技も何もない。でも、太鼓だったら? 太鼓だったら、みんなが喜ぶし、これこそ自分しかできないことでは? と気付いたんです。太鼓店が減っている今、うちのお客さんが新たに別の太鼓店を探すのは大変。取引先さんも、うちとの取引がなくなるのは痛手のはず。両親もご近所さんも喜んでくれる。決め手があったわけではなく、いろんなことを考えて、じわじわと」

そこでまず、亜耶香さんはご両親に「女性でもできるかな」と相談。
父親の雅之さんは驚きつつも「最近は機械化されているから大丈夫よ」と答えました。

「太鼓店を継ごう」

そう決意した亜耶香さんは、2021年秋に仕事を退職。
店を継ぐことを知った会社の人たちは、驚きつつも、心から応援して送り出してくれたそうです。

喜八屋 福藤太鼓店

現在、亜耶香さんは、雅之さんの指導のもと、全ての工程を一通り学んでいます。
持ち込まれる太鼓はさまざまで、叩きすぎて皮が破れたり、水が漏れて皮が傷んだり、中には火事になって燃えた太鼓も…。
修理方法にマニュアルはなく、「こうだ」と決まっているわけでもありません。
太鼓は「皮」あってこそ。良い皮が、安定して入手できることが重要なのだとか。
品質の良い牛皮を扱う業者3社と、長い付き合いがあるのが、福藤太鼓店の強みです。

喜八屋 福藤太鼓店

雅之さんは今までの長い経験を生かしつつ、亜耶香さんの意見も大切にしながら、しっかり会話をし、修理していきます。
「娘は、私にはない新鮮な発想ができるんです。私は今までやってきたことの中で考えようとするけれど、新しい風っていうのもいいですね。いつも言うんですよ、効率良くできる方法があれば取り入れるように、ってね」と柔和な笑顔を見せる雅之さんに、「私が息子じゃなくて、娘だからぶつからずにできるんだと思う」と返す亜耶香さん。
そこには、年齢や性別、経験を超え、お互いが尊重し合って、世の中に二つとない太鼓と向き合う、真剣な時間が流れています。

喜八屋 福藤太鼓店

皮の繊維を見極め、繊維の伸び具合、叩いたときの音、乾き具合などを確認。「最高の状態」を追求します。

7代目を継承するために、日々仕事に励む亜耶香さん。
「今はどんな修理依頼があっても、父がいるから不安はありません。でも、例えば明治時代の太鼓が持ち込まれたとして、自分一人だったら怖いなって思います。太鼓の胴の部分は木製ですから、内部が乾燥したり劣化したりしているかもしれない。状態の見極めができるようにならないと。逆に言えば、それができるのが職人だと思います。父からしっかり吸収していきたいですね。父や私の仕事は、それぞれの道の職人さんが作ってくれたものを完成させる、最終段階。職人さんの思いも込めて、常に、きれいに仕上げたいと思って取り組んでいます」と前向きな中にも、「代替わりしたら悪くなったと言われないようにしたい」と、気を引き締めています。

「幼いころから、太鼓が身近にあり、常に音を聞き、皮の匂いをかぎながら大きくなりました。だからでしょうか、『いい音』『こんな音がしたらいいな』という、説明できない感覚が染みついているんです」
この家に生まれ育ち、教えられたのではなく、自然に習得した感覚が武器でもあります。

喜八屋 福藤太鼓店

亜耶香さんの思い描く今後について聞きました。
「専門学校に通っていたとき、外国人と接する機会がたくさんありました。彼らは普段から、自分の故郷や住んでいる場所の食べ物や観光地、魅力などを積極的に口にすることに驚きました。そして私は、三次のどんなことが言えるだろう?って思ったんです。ですから、今の子どもたちには、三次にはおいしい食べ物があって、ワイナリーがあって、素晴らしいところなんだと、自信を持って言ってほしいなって思います。太鼓店は、三次に一軒という珍しい存在。もし地元の小学校などから依頼があれば、かつて受け入れていた職場見学も再開したい。地域にこんな産業が息づいて、今も継承されていることを知ってもらえたらいいな」

進学で一度は三次市を離れたからこそ分かる、三次の魅力。これからは子どもたちに伝えていけたらと願っています。

亜耶香さんがいま考えているものを見せてくれました。
本物の太鼓の皮を使ったキーホルダーです。

喜八屋 福藤太鼓店

「太鼓に張る皮の隅は、今まで捨てるしかありませんでした。前からもったいないな、何かに使えないかなと思って…。皮をカットして小さな太鼓に仕立てたキーホルダーを試作中です。改良を重ねて、三次のお土産として売り出せないかなと。三次の名物として広まって、まちおこし、地域活性化の一つになればいいなと思っています。残った部分を再利用することは、SDGsにもつながりますよね」

子どものころから耳に馴染んでいる太鼓の音を、今度は自分の手で響かせる。
老舗太鼓店の7代目を目指して励みつつ、亜耶香さんは自分らしい将来像も見据えています。

 

Information

店舗名 喜八屋 福藤太鼓店
所在地 広島県三次市三次町626-2
電話番号 0824-63-4977